シロアリの餌はなんでしょう。
シロアリの餌は「セルロース」すなわち木材の繊維です。
セルロースは、植物細胞の壁や繊維を作る成分です。
小さなシロアリがこの食物繊維をどのように消化するのか、疑問に感じるかもしれませんが、実はシロアリはセルロースを分解する酵素「セルラーゼ」を出して、糖に変えて栄養として利用します。こんな進化を遂げた昆虫なのです。
しかし、分解された酵素だけでは足りない栄養を得るため、シロアリは体内に「原生動物」や「バクテリア」との共生関係を築きました。つまり、腸内の原生動物がセルロースを分解してブドウ糖に変え、シロアリが必要な栄養を得る仕組みを進化の過程で確立したのです。
下の写真は白蟻による畳の被害ですが、畳もセルロースを多く含んでおり、シロアリにとってはおいしい餌となるのです。
シロアリが好む木材
一般的には、クロマツ・アカマツ・エゾマツなどのマツ類やヤナギ、サクラ、スギ、ヒノキの辺材など、柔らかな木材を好む傾向があります。
最近では、見た目の美しさからサクラ材がフローリング材として広く使用されていますが、その柔らかさからイエシロアリが侵入すると、皮だけを残す「スケルトン状態」にまで食べ尽くすこともあります。また、庭に植えられた生き生きとした桜の木もシロアリの被害を受け、花が咲かなくなる例もあり、桜の木も好んで食べることが分かっています。
沖縄の木材としては、リュウキュウマツ、オキナワウラジロガシ、シイ、デイゴ、モクマオウ、ガジュマルなどがあります。
輸入材としては、ベイマツ、ウエスタンヘムロック、スプルース(マツ科)、アガチス(建具材によく使用される)などがあります。
シロアリが好まない木材
一般的には、ヒノキ、ヒバ、イヌマキ、スギ、ケヤキ、コウヤマキなどです。
沖縄では、イヌマキ(チャーギ)、スギ、センダン、モッコク(イーク)などです。
シロアリが好まぬ材とは、いずれも「木材の心材部分の材」を指しており、「辺材部分(中心から離れた外側の柔らかい部分)」は、シロアリに食害されやすいと言えます。
シロアリはコンクリートも食べるの?
シロアリはコンクリートを食べることはありません。むしろコンクリートの打継や土間コンクリートのわずかな亀裂から侵入し、床組や畳、柱、家具などに含まれるセルロースを食害します。まれにですが、食材となる木材を得るためにコンクリートや銅板を噛んで穴を開ける場合もあります。
また、「シロアリは蟻酸で穴を開ける」という噂が広まっていますが、実際にはシロアリは蟻酸を出す昆虫ではありません。
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